Diving Cowboy

電脳世界のデフラグを。

【トロコン】Life is Strange 親友と時間と記憶の物語【感想・レビュー】

※ネタバレ有

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主人公マックスは写真家を目指す、ちょっと内気な18歳の女の子。名門ブラックウェル高校に編入できたことから、5年ぶりに地元であるアルカディア・ベイに帰ってきた。

内気な性格もあってか、個性が強いクラスメイトに上手く馴染めないでいたある日、女子トイレで青髪の女の子が射殺されるのを目撃してしまう。その途端時が遡って…

という導入部分から始まるアドベンチャーゲームです。

フランスで開発された当初は、パブリッシャーが中々見つからず困っていた際に、スクウェアエニックスに声をかけられて発売出来たという経緯があるそうです。

2015~6年、海外を中心に多くのゲームアワードを獲得し、日本のゲームファンも魅了しました。 

ストーリー概要 

基本的にはストーリードリブンの中で気になった部分を「調べて」、選択肢を「選びます」

マックスが取った行動によって、その後の展開が変わってくる。どころか、究極の選択の成否にも関わってきます。また、特異な能力として、「時を巻き戻す」事が出来るので、選択をやり直すこともできます。この能力を使って、ある事件を追いかけるのがストーリーの本筋となります。

このゲームが評価された要因は「究極の選択」にあります。

全5章で構成される物語ですが、2章でのいじめられっこのケイトを「助ける」「助けられない」か、前述の調査によって、ケイトを自殺から救えるかどうかが決まってきます。言い換えれば、いかにケイトに興味を持っていたか非常に大事となります。

ちなみにここでは時間巻き戻しが使えないので、一発勝負です。かつ、ケイトを助けられなくてもストーリーは進みます。ドラクエ理論に慣れている日本人からしたら、どうせやり直しでしょう?と思うところですが、ところがどっこい…夢じゃありません…そのまま進みます…

また、4章で親友のクロエを「救う」か「救わない」か。

そして最後の選択で「クロエ」を犠牲にするか、「町」を犠牲にするか。 

クロエ・プライス 

ストーリーの冒頭で射殺されてしまう青髪の女の子が、5年ぶりに再会した、マックスの親友クロエです。このクロエは本来「死んでしまう」運命なのですが、マックスの能力によって生きる運命に書き換えられます。その後、不自然な位に何回もクロエが死に掛けるのですが、明らかに意図があるような気がしてなりません。まあゲーム性を持たせる為と言ってしまえばそれまでですが…

そして最後、マックスが能力を使ったことで多くの人の未来が捻じ曲げられ、結果、竜巻がアルカディア・ベイを破壊するという未来に収束してしまいます。クロエは最初から無かったことにすれば竜巻は起きないとして自らの死の運命を受け入れる覚悟を決めます。果たしてマックスはどちらを選ぶのか…

 

私はノータイムで「クロエを救う」未来に決めました。

だって、「これまでやってきたことがすべて無駄だったなんて思いたくないじゃん!?」ってのが理由です。

章ごとにプレイヤーがどちらを選んだか見れるのですが、最後の設問に関しては、ほぼ半々でした。

その後、もう一つのエンディングも見ましたが、、、

うーん。やっぱり正史はクロエ犠牲の方っぽいなあ。

 

トロフィーについて 

トロコンは非常に簡単です。調査をしている時に撮影が出来るものが時々ありますので、それを集めていきます。日記にもヒントがあるのですが、隅々まで調べていればおおよそ見つけることが出来ます。残りは攻略サイトと。プラチナも簡単なのでトロフィー狙いの方にもおすすめです。 

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記憶に残る体験 

様々指摘があるように、全体的に見るとストーリーのデザインは「平凡」です。事件の犯人へのミスリードも正直革新的なものではなかったし、グラフィックもお世辞にも綺麗とは言いにくいです。味はあるけど。

では何故ここまでの評価を受けているのか、それは前述の「究極の選択」「作品が持つ雰囲気」に他なりません。

物語の冒頭、授業後、鬱々した気分で廊下に出たマックスはおもむろにイヤホンを耳につけます。そこで「SQUARE ENIX」の文字と共に音楽が流れ、真っ直ぐの廊下を歩くと、回りには生き生きと生徒が描かれており、アメリカの高校の雰囲気を感じられます。(リアルかどうかは知らん)

こういった演出は心をグッと捕まれるなあ。 

あとは日記の使い方がとても上手く、マックスを初め、登場人物のバックボーンや、マックスが本当はこの時点何を考えていたのかなどが本当に細かく記載されています。

まあ台詞もそうですが、フォントについては何も言うまい。慣れるけどね。

文字関係でもう一つ言うと、ローカライズは完璧です。良い感じで若者言葉も使っているので、ニュアンスが判りやすいです。苦労したんだなあ…ってのが良くわかります。

日本語のローカライズに本当に気を使うようになったのって、やはりベセスダ系の反面教師なんですかね。ゲームは最高なのに…。個人的には味があって結構好きですが。赤のラグナルとか。

後はマックスが本当に可愛く見えてきます。マックス自身の成長によって、どんどん可愛く、魅力的になっていくのがずるい。

このゲームは確かに瞬間のインパクトは少ないかもしれません。ただ、この物語が終わった後の寂しさや余韻や、クロエと過ごした1週間の冒険は紛れも無く心に残るものでした。

 

2018年6月7日に、空白の5年間が語られる物語、「life is strange: before the storm」の日本語版が発売されます。本編では悲しい結末となってしまったレイチェルとクロエとの物語です。楽しみ!